主張

再生砕石アスベスト

「時限爆弾」と共存はできない

泉南アスベストに関する、新聞記事などを紹介しています。

人体に重大な健康被害をもたらすアスベスト(石綿)を含有する建設廃材の処分では、一般の廃棄物と厳密に分別し、埋め立てや溶融による無害化などの処理をすることを、廃棄物処理法が義務づけています。この分別処理体制に大穴が開いていました。

 建物の解体工事で出るコンクリート塊などを砕き、砂利としてリサイクルする「再生砕石」に、アスベスト建材が混入している事例が多数見つかったのです。過去にも同様の事例はあり、問題は全国的な広がりを持つとみられます。

分別徹底されず

 さいたま市の市民団体が首都圏の駐車場、工事現場など130カ所に敷かれた再生砕石を調査し、多くの個所でアスベストを検出しました。特に人体への危険性の高い「青石綿」も検出しており、問題は深刻です。

 アスベストは、耐熱性、対薬品性が強いなどの性質から建材に広く利用されてきました。アスベストをセメントなどと一体に成形して薄い板状に加工したスレートは、屋根材、内・外壁材として広く建築物に使われています。それが解体工事のさいに一般の建設廃材と分別処理されず、建設リサイクルに混入している疑いがあります。

 さらに再生処理施設へのアスベスト建材の搬入を、砕石処理業者が適切にチェックしていない疑いなど、以前から健康への影響が強く懸念されていました。

 アスベストの粉じんを大量に吸い込むと、鋭くとがった繊維が肺に突き刺さり、いつまでも消えません。じん肺の一種の「石綿肺」や中皮腫というがんは、20~30年もの潜伏期間があります。長い年月、死の恐怖と隣りあわせで、しかもこれを治すすべはないという苦しみから、「静かな時限爆弾」とも呼ばれています。

 再生砕石に紛れ込む形で、私たちの身近にばらまかれたアスベスト材が、風化、破壊するなかで粉じんを飛散させれば、周辺住民の生活環境は悪化し、二次被害が広がることになりかねません。

 これを防ぐためには、まず建物の解体現場で、スレート板が適切に分別解体されなければなりません。環境省は解体工事の発注者、排出事業者、処理業者にたいして「指針」を示しています。これを守らせる行政の監視・管理体制の強化が必要です。

 問題の根本には、分別処理にかかるコストの問題があります。解体工事の単価切り下げのなかで、コストが適正に算定されず、下請け業者に処理費用が回らないことが常態化しています。日本共産党の市田忠義書記局長は5月の参院環境委員会で、元請け業者が必要経費を支払わない場合はペナルティーを科すこと、下請けまで確実に費用が渡る契約の義務付け、製造メーカーの責任で処分するものを定めるなど、建設廃棄物問題へのきめ細かい対策を求めました。

総合的な対策を

 アスベスト問題で、その危険性を早くから知りながら規制を怠り、悲惨な健康被害を広げた政府の責任はあまりにも重大です。その歴史もふまえ、再生砕石アスベスト問題の実態把握、総合的な処理・管理対策にあたるべきです。

 今後、建物の更新時期を迎え、大量のアスベスト廃材が発生することが見込まれるだけに、実効ある対策を急ぐ必要があります。

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2010年8月26日(木)「しんぶん赤旗」主張