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貝塚市長 吉道 勇 殿 

1998年5月28日  
 日本共産党貝塚市会議員団

 日頃 地方行政推進に尽力されている貴職に敬意を表します。
 さて、ご承知のように、関西国際空港をめぐって極めて重大な諸問題が生まれ、住民の中にも大きな関心や不安がひろがっております。
 今こそ関空建設の原点や関空のあり方の基本、さらには議会決議の精神を踏まえて毅然と対応し、地域住民のくらし・健康・安全を守るため、全力を尽すことが求められています。
 つきましては 以下の諸点についてとりくまれるよう強く要請します。

                        

1、関空の軍事利用問題について
  本市の「非核・平和都市宣言」の趣旨や、関空の基本的なあり方からも、空港の軍事利用は絶対許されるものではありません。ところが新ガイドラインにもとづく「周辺有事」に際しての「米軍への協力」の一環として、関西空港の「米軍への提供」が検討されているもようであります。

  従って こうした動きが具体化される以前に、関係方面への働きかけをはじめ必要なとりくみをすすめ、それを阻止することは、地域住民の安全を守るべき地方自治体の重大な責務だと考えます。貴職の積極的なとりくみを心から要請します。

2、「陸上ルート」導入問題について
  申すまでもなく 関空は「陸域は飛行しない」旨の、各地元自治体への固い約束のもとで建設に同意されたものです。「海上ルート」は前提条件であり、前提条件の変更は全住民の合意なしに認められるものではありません。従って貴職におかれましても議会決議の趣旨をも踏まえ、運輸省・大阪府からの「陸上ルート」導入容認の要請に反対を貫くことを改めて強く要請します。

  その際、「住民合意」を重視するためにもひろく、住民に充分な説明を行なうとともに、意見を聴取する機会を保障することが極めて大切なことと考えます。

  また、現在のルートにおいてさえ発生している多数の苦情や不安解消のためにも、運輸省が提示した「当面の総合的とりくみ」「環境面への特別の配慮」などの内容のうち「海上ルート」のままで実施可能な対策は直ちに実現するよう、運輸省・大阪府に強く働きかけることが、いまある公害への対応として必要だと考えます。

3、「2期事業」問題について
 (1)関空1期事業については、自治体はじめ地元業者・住民などにも大きな期待がありました。「全体構想推進決議」もその反映でした。しかし結果は、ご承知の通りその期待を裏切るものとなっています。1兆5600億円という1期以上の巨額を投入する「2期事業」開始に当たっては、「1期」の冷静・厳格な総括の上で、住民合意のもとにすすめるべきではないでしょうか。

  また、当時は予想できなかった未曾有の財政危機のもと、大阪府では老人医療制度の改悪や、福祉・教育への大ナタが振るわれています。一方、不況対策として宮沢内閣以来6回にわたってすすめられた公共事業への巨額の財政投入も、不況打開に役立たず、地元業者・住民は、不況や医療・福祉の切捨てに悲鳴をあげています。明らかに「1期」当時とは情況が大きく変化しています。福祉・くらしを犠牲にしてまで 景気回復に役立たない巨額の公共事業を急ぐ必要があるでしょうか。

  さらに、鳴り物入りの世界初の「民間空港」も「2期事業」では公的資金の増額でその破綻をつくろおうとしています。(公的資金2.9倍、財界は0.6倍)。国が責任をもつ第1種空港の原点に立ち戻ることも視野に、経営のあり方も見直す時ではないでしょうか。

  いまこそ住民の利益を第一に、「2期事業」の一時凍結と抜本見直しを求めるべきだ と考えます。

 (2)とりわけ重大な問題は「2期事業」推進のために必要な手続きの1つである「アセスメント」の作業が、「陸上ルート」を前提にすすめられていることです。「共存共栄」を口にしつつ、関空建設の前提条件を蹂躙する「陸上ルート」を前提にした作業をすすめる、しかも いまなお「協議中」であるにも拘らず、これを無視して一方的に強行する、こうしたやり方は、今後の地元自治体・住民と空港の関係を考えても絶対に容認できるものではありません。

  然るべき対応を要請するとともに、「アセスメント」に対する審査は、学識経験者や住民代表など、多方面からの公正で科学的検討を、公開ですすめられるよう求めます。

 (3)なお、言う迄もないことですが「2期事業」と「飛行経路」は別個の問題であり、これをリンクさせずに、それぞれの検討が「情報公開」「住民参加」ですすめられ、圧倒的な住民が納得する結論が得られるよう、格段の努力を要請するものです。

                                       以   上