1997年8月7日


関西空港の飛行ルートに関する申し入れ


 日頃のご努力に敬意を表します。
 さて関西空港が泉州沖に開港されて二年数ヵ月がたちました。私たちはこの空港が、泉州地域の住民とともに共存共栄する空港にと強く願っているところです。 ところが先日運輸省が大阪府に提示した「陸上ルート」案は、こうした地元住民の空港への「期待」を裏切り、「公害のない空港」という空港建設の原点を真っ向から踏みにじるものと言わねばなりません。

 もともと空港建設の当時から、飛行経路問題についての不安や疑問を出していたのは、地元住民や自治体の方でした。それに対して運輸省は、「三点セット」の確認の中でくりかえし「大阪府下の陸域上空を飛行するものではない」と明言してきました。今回の運輸省の計画案は、こうした地元住民や自治体への約束に真っ向から違反するものであり、明らかに従来の「三点セット」の変更です。ところが運輸省は「騒音問題の生じない空港作り」が「三点セット」の基本であるかのように矮小化し、ごまかして陸上ルートをおしすすめる態度は、住民や地元自治体を二度三度とないがしろにするものです。

 七十四年の航空蕃議会答申でも、海上空港・海上ルートが前提で、陸域上空は検討外にされました。「陸上は飛ばない」との約束がなければ、地元自治体も地元住民も空港建設への同意はありえなかった問題です。
 同時に、空港が開港されてからの二年数ヵ月の間に、空港の地元である泉州地域では、残念ながら空港に関連してさまざまな問題が起こっており、地元住民はこれが共存共栄の姿なのかと、改めて関西空港に対して複雑な思いと不安を募らせているところです。例えば、空港への「足」ともなるJR阪和線や南海本線の騒音・振動、空港優先ダイヤによる乗客への影響や踏切渋滞の一層の深刻化、また空港開港を契機にした大型店舗の進出ラッシュによる地元小売業への打撃など経済的にも影響は深刻です。
 さらにこれに加えて陸上ルート飛行による新たな騒音などの公害は、地元住民にとって耐え難いものであり、到底認めることは出来ません。

 運輸省は当時「二十六万回の発着でも海上ルートで大丈夫」と国会の場でも、地元にも約束してきた当時のデータをすべて公開し、「はじめに陸上ルートありき」の態度でなく、「三点セット」の立場で空港建設の原点である、「海上ルートを堅持」するために、あらゆる努力を尽くされることを重ねて申し入れする次第です。

                          以  上      


一九九七年八月七日

運輸大臣 古賀 誠 殿

           

陸上ルート反対三者連絡会議             
大阪労連阪南地区協議会
公害のない住みよい泉佐野をつくる市民連絡会
日本共産党阪南地区委員会