[しんぶん赤旗、2007年8月3日、4面]


関空第2滑走路

ムダ批判の中 供用
伸び悩む需要 経営難深刻

 関西国際空港の第二滑走路が二日、使用開始されました。需要が伸び悩み、関西空港株式会社のきびしい経営状況が続くなか、総事業費一兆円近い第二期工事には「ムダな公共事業」との批判が強く、結局、旅客ターミナルなどの建設は先送りの形となり、問題山積のスタートとなりました。

 第二滑走路はジャンボ機の運用も可能な全長四千メートル。「十月からは新しい管制システムで国内初の完全二十四時間対応の空港」として売り込んでいます。

 関西空港は大阪国際空港(兵庫県伊丹市など)の騒音解決のために大阪湾の沖合に埋め立てられた日本初の「民活」型空港で、一九九四年九月に開港しました。一期事業は埋め立て土砂による海底の地盤沈下などで建設事業費が一・五倍に膨れ、総事業費は約一兆五千億円。関空会社は約一兆二千億円近い有利子負債をかかえており、バブル崩壊やアジアでの相次ぐ主要空港の開港、世界で最も高い着陸料などで需要が低迷し、経営難に追いこまれています。

 日本共産党は、需要の増加が見込めないなかで、「ムダな公共事業」として二期事業の中止・凍結を主張。一時は政府内やマスコミからも凍結や疑問が出されました。しかし関西財界と太田房江知事を先頭に自民党、民主党、公明党などがこぞって国に推進を要望。年間の発着回数が十三万回になることを条件に着工されました。

 欧米の長距離旅客線の撤退が相次ぐなど発着回数は、現行の滑走路一本の発着能力十六万回に対し、〇六年度で約十一万六千回にとどまっています。関空の需要が伸び悩むなか、この間、神戸空港や中部国際空港が開港しました。府民や日本共産党の反対を押し切って二期工事を強行した矛盾はますます深刻になっています。