<しんぶん赤旗、2005年4月5日、大阪のページ>


「九条の会・きしわだ」が発足

賛同1600人、集会に400人

 「九条の会・きしわだ」の発足集会が二日、岸和田市のマドカホールで開かれ、およそ四百人が参加しました。元米海兵隊員のアレン・ネルソンさんが、ベトナム戦争の体験から平和の大切さを訴えました。賛同者の一人、原昇市長のメッセージが紹介されました。

 呼びかけ人の一人、神崎清さん(岸和田市教組委員長)が主催者を代表してあいさつ。医者、青少年指導員、会社役員、僧侶など賛同者は千六百人を超えているとして、「感じていることはみな同じ。今、この国の進む方向が危ないということ。どうしてもこの流れを止めなければならない。きょうの集いを力に、仲間を増やしていこう」と訴えました。

 ネルソンさんは、ベトナム戦争の体験を通じ、人間性を奪っていく軍隊と戦場の状況を生なましく語りました。

 海兵隊の訓練で、相手を人間と思わないよう徹底的にたたきこまれました。「戦争は優しさや思いやりの場ではない。敵は見つけしだい殺した」。相手を人間と思っていたら、人を殺すことはできないといいます。「殺りくに明け暮れていた」というネルソンさんがベトナム戦争に疑問をもったのは、ある民家で少女の出産に立ち会ったことからでした。「十五―十六歳だった。私はどうしていいか分からなかった。彼女がいきむと私の手の中に赤ちゃんが転がり込んだ。『ベトナム人も同じ人間だ』と初めて思った」。帰国後、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に悩まされますが、医師の協力で克服。平和の語り部として活動しています。

 ネルソンさんは憲法九条について、「政治家が九条を亡きものにしようとしているのを許してはいけない。今こそ国民が力を合わせて九条を守るとき。九条は地球上すべての人類にとって希望のともしびだ」と語りました。

 同会は、同市の有権者過半数(八万五千人)から「憲法九条を守る」請願署名を集めよう、と提起しました。