衆議院予算委員会での志位和夫委員長の質問から(2005・2・3)

(しんぶん赤旗、2005年2月5日付け)

<歳出についての質問で、関空問題に関する部分の抜粋>


志位 関空2期工事など、
    無駄な巨大開発を復活。
    首相の「公約」にも反する

首相 公共事業費は削減している
国土交通相 関空2期には需要見通しがある

志位 総理が歳出のことを考えてくれといったので、じゃあ聞きましょう。
 来年度の予算案を報じたメディアが、もう一つ強調したことがある。それは「大型事業は聖域化」ということです。つまり庶民に増税を押しつけながら、大型開発事業は復活し、無駄遣いを拡大しているじゃないかという問題です。

 一つあげましょう。総額一兆円を超す巨大事業である関西空港二期工事に、新たに三百億円も予算を今度の予算案は計上している。事実ですね。埋め立てはほぼ終了して、滑走路や空港ビルの「うわ物」をつくる、新たな段階に入るための予算であります。

 関空というのは、いま一本の滑走路でも年間十六万回の発着能力を持っている。ところが実績は十万回です。いま一本でも余っている。需要の見通しもない。そのうえ二本目の滑走路建設というのは、無駄そのものだというのが世論の圧倒的多数の声であります。

 そこでうかがいたい。総理の答弁のなかで非常に印象的だったので読み上げてみたい。これは二〇〇二年の七月十日の予算委員会の答弁です。こうおっしゃっておられます。「小泉内閣の方針は増税ではなく歳出削減で、無駄な税金の使い方を徹底的に直すということであります。……増税よりも歳出削減が先だと、無駄な税金の使い道、これを徹底的にやるのが先だという方針でのぞんでまいります」。こう公約されたわけですね。


 しかし関空二期がどうして必要な事業ですか。無駄そのものだというのは離発着の回数一つとったって明りょうであります。「増税よりも無駄遣いを徹底的に見直すことが先決」という、あなたのこの公約にてらすならば、新たな無駄遣いに乗り出しながら庶民に増税など、とうてい許せる道理はないと思います。

首相 後ほど北側大臣に答弁していただきますけど、その公約どおりにやっているんですよ、私は。公共事業は四年連続マイナスじゃないですか。関空のこといってますけどね、公共事業費は前年度に比べて3・6%削減したんですよ。増やしたのは社会保障関係費と科学技術振興分野の予算だけ。

 そして、このまま負担を軽減して国債を発行しようといったならば、これは国債増発だって将来の増税ですから、できるだけ抑えていかなきゃならない。そういうメリハリをつけて予算をつくっているんです。
 そのようなご指摘も、共産党としてのご主張としてはわかりますけども、全体として見ていただければ、厳しい財政状況のなか、これだけ公共事業をやれやれっていうなかで、四年連続マイナス予算を組んで、そのマイナスのなかで必要な事業を組んでいるんですから、そのへんも理解していただかなきゃ。

北側一雄国土交通相
 関西空港の需要見込みでございますが、二〇〇七年度の二本目の滑走路を必要とする時点では十三万回程度。また二〇〇八年度には十三・五万回程度の総発着回数を想定をしておる、見込んでいるところでございます。この見通しは達成できると考えておりまして、決して無駄ではないということをご理解をお願いしたいと思います。


志位 公共事業費を「減らした」と
    いうが、欧米比で異常な高水準。
    「空港のため需要をつくる」、
    これこそ無駄づかいだ

志位 まず、小泉首相の公共事業の問題についてのご発言ですけれども、「全体を減らした」とおっしゃいました。たしかに3%分減らしているんでしょう。しかし減らしたら無駄な事業をやっていいというふうにはならないですよ。

 それから、減らした減らしたというけれども、これを見てください(グラフ4)。

財政制度等審議会に財務省が出した国際比較の数字ですよ。減らした減らしたというけれども、学校、病院、福祉施設、そういうものを除いた、いわゆる日本で公共事業といわれているものの水準は、アメリカ、ドイツ、フランスの三倍ですよ。イギリスの十倍ですよ。こういう水準にある。額でいえば十数兆円も多いということを認識すべきであります。

 それから北側さん。さきほどいわれました。しかし関空二期が無駄だというのは、北側大臣と谷垣(財務)大臣の十二月十八日の合意文書、ここにはっきりと自分でいっていると思います。

 なぜならば、ここには「関空は二〇〇七年度には十三万回程度、二〇〇八年度には十三・五万回程度の需要の確保のために、集客利用促進、就航促進に向けた、さらなる努力を行う」と書いてます。「努力を行う」ですよ。つまり「需要の予測」じゃない。「需要があるから空港をつくる」というならわかりますよ。しかしこの文書に書いてあるのはそうじゃない。「空港をつくったから需要をつくる」というんですよ。お客を集め、航空機を集め、需要をつくる。これこそ無駄遣いですよ。

 私は、一方でこういう無駄遣いを押しつけながら、国民に巨額の負担増や増税を押しつける。これは絶対に認めるわけにはいかない。いまからでも、七兆円の負担増、さらにはそれに続く消費税増税の計画はきっぱり見直して、中止すべきだということを最後にいって、質問にいたします。