<しんぶん赤旗、2005年1月7日付け、[経済]>

05年度予算案の焦点 口2□

公共事業

財界が喜ぶムダ温存

 公共事業関係費は、今年度比3・6%減の七兆五千三百十億円です。大都市圏に施策を重点化し、ムダな大型事業を推進しています。

関空2期推進

 大都市圏拠点空港の整備は、2・2%増の八百九十九億円です。一方、一般空港は9・6%減の三百二十三億円です。二〇〇七年の使用開始を目指している関西空港二期工事には、三百五十四億円を計上しました。二期工事の推進については、財務相の諮問機関である財政制度等審議会が関西空港の需要が大幅に下回っている現状を受け、「慎重であるべきである」と提言していました。ところが、小泉内閣は、この意見に耳を貸さずムダを温存。これにたいして、関西財界の関西経済連合会は、「(関空二期工事予算)満額が計上されたことは大変喜ばしい」とのコメントを発表しています。羽田に四本目の滑走路をつくる羽田再拡張事業の関連予算は267・7%増の三百五十三億円を計上しました。

 東京、大阪、名古屋の三大都市圏環状道路の整備は、13・9%増の千九百六十一億円です。地方の空港・港湾へのアクセス改善のためのバイパスなどの整備(6・2%減)や維持修繕(9・8%減)を削減しています。港湾整備も全体では6・8%減。アジアの大規模港湾と競うスーパー中枢港湾(京浜湾、伊勢湾、阪神湾)には21・1%増の二百七十八億円を盛り込みました。整備新幹線は、北海道など三区間の新規着工が決定し七百六億円を計上しました。

 総事業費四千六百億円もかかる群馬県の八ツ場(やんぼ)ダム建設には、百十一億円を計上しました。


添付図=大都市圏に重点化した公共事業

住宅対策は減

 「まちづくり交付金」は41・5%増の千九百三十億円。住民参加型のまちづくりを支援する側面もある一方、大手開発業者など民間開発業者の支援策にもなります。

 住宅対策費は6・5%減の八千百八十二億円です。〇六年度中の廃止を計画している住宅金融公庫の融資戸数を今年度より八万戸減の十四万戸に大幅に減少させました。一方、長期・固定で低金利の公庫融資の廃止をにらんで重点化するのが証券化支援業務です。今年度より二万戸増の十万戸に。融資の焦げつきなどの民間金融機関の「信用リスク」を肩代わりするものです。貸付額の上限を五千万円から八千万円に引き上げます。

 また、公営住宅の入居資格を一部緩和しました。子育て世帯について公営住宅の収入基準を月二十万円から月二十六万円八千円に引き上げるとともに、知的障害者らの単身入居を可能にしました。